コンピューターの設計は‘省電力・低発熱化’に向かっているが、その中でベンダー各社が‘力を込めた熱い’戦いを繰り広げているのが、サーバー・ブレード市場だ。
最近のサーバー市場は、マルチコア技術や仮想化技術の進歩、そしてサーバー・コンソリデーションなどに注目が集まっているが、出荷台数の伸びは若干スロー・ペースであるという調査結果が出ている。そんな中、サーバー・ブレード市場だけは、売り上げ、台数とも急速に伸びている。
そこで今回は、クアッドコア インテルXeonプロセッサー(Clovertown)に対応したサーバー・ブレード6社6機種をピックアップし、それらの魅力に迫ってみた。
米IDCが今年5月23日に発表したプレス・リリースによると、2007年第1四半期における世界のサーバー市場は、売り上げベースで前年同期比+4.9%、出荷台数ベースでは+4.6%の成長となっている。特徴としてあげられているのは、売り上げが4四半期連続、第1四半期としては2001年以降では最高を記録する一方で、出荷台数で見た成長率は前年ほどではないということ。この傾向はIAサーバーについても同様で、売り上げベースで前年同期比+8.7%の66億ドル、出荷台数ベースでは+6.5%の180万台とサーバー市場全体を上回るペースで成長を続けているが、6四半期の中で最も高い伸びを示した売り上げに比べて、出荷台数の成長率は比較的ゆっくりしたペースとなっている。IDCでは、コンソリデーション(統合)に対する気運の高まりが、そうした傾向の要因だと分析している。
更にIDCでは“仮想化”、そして“マルチコア”という2つの技術革新が今後のIAサーバー市場に大きなインパクトを与えるとする予測結果を5月20日付けのプレス・リリースで発表している。同リリースによると、仮想サーバーの数は、2005年から20010年にかけて年平均成長率40,6%という劇的なペースで増えていく。また、同社は当初、2006年から2010年にかけてのx86系サーバーの成長率を出荷台数ベースで+61%と予測していたが、仮想化、マルチコアが急速に普及している現在の状況を踏まえ、予想を+39%の450万台と下方修正している。
こうした中、売り上げ、出荷台数のいずれにおいても成長著しいのがサーバー・ブレード市場である。再びIDCの5月23日付プレス・リリースに戻ると、2007年第1四半期においてブレード・サーバーがサーバー市場全体に占める割合は6.2%だが、その成長率は売り上げベースで+29.7%の7億6800万ドルとハイペースだ。国内においてもIDC Japanが昨年12月、サーバー・ブレードの出荷台数が、順調に伸びているという調査結果を発表している。
今日では、コンソリデーションと言えば仮想化、仮想化と言えばマルチコアという図式が成り立ちつつあるが、上記のような調査結果を見ると、これからは“サーバー・ブレード”というキーワードも押さえておいた方がいいだろう。
【参考資料】
では早速、最新のサーバー・ブレードとはどんなものかをチェックしてみよう。まずは、上記IDCの調査結果を参考に、世界のサーバー市場でシェア上位を占める4社(HP、IBM、Dell、富士通/Fujitsu Siemens)と、国内を代表する2社(日立、NEC)の計6社が提供しているサーバー・ブレード製品の中からクアッドコア インテルXeonプロセッサーに対応した機種を1つずつピックアップし、それらのスペック上の特長を見ていく。なお、ここで取り上げた機種の主なスペックは、一覧できるように後掲の表1にまとめてある。

サーバー・ブレードあたりの拡張性に優れているのがHP ProLiant BL480c。プロセッサーは、X5300番台とE5300番台をサポートし、12本のメモリー・スロットにはPC2-5300 FB-DIMMを最大48GBまで増設できる。オンボードのSmartアレイP400iコントローラーは、RAID 0, 1, 5, ADG(Advanced Data Guarding)に対応し、2.5インチSAS(Serial Attached SCSI)ドライブを最大4基、計584GBまで接続できる。更に、ネットワーク・ポートは標準で4つ、オンボードに装備された3つのメザニンスロットにネットワーク・アダプターを装着することで、最大16ポートまで拡張可能となる。
このメザニンスロットには、ファイバー・チャネル・アダプターやInfinibandネットワーク・アダプターなども用意されている。また、リモート管理のためのiLO2(Integrated Lights-Out 2) Blade Editionを標準搭載、仮想KVM(Keyboard / Video / Mouse)リモート・コンソールなどの機能を提供する。
【参考資料】

収納密度の高さと柔軟性が魅力なのがIBM BladeCenter HS21。プロセッサーは、X5300番台、E5300番台、低電圧版のL5300番台をサポート。メモリーはPC2-5300 FB-DIMMを最大16GB、オプションのメモリーI/O拡張ユニットを使用することで、最大32GBまで増設できる。オンボードのディスク・コントローラーはRAID 1機能に対応し、2.5インチSASドライブを2基、最大293.6GBまで内蔵可能。オプションのストレージI/Oブレードとあわせることで、更に2.5インチSASドライブを3基、最大440.4GBが追加可能となる。シャーシには、7UサイズのIBM BladeCenter Eシャーシと9UサイズのIBM Blade Center Hシャーシ、および8Uサイズのテレコム向けIBM BladeCenter Tシャーシが用意されている。EシャーシとHシャーシは14本、Tシャーシは8本のブレード・スロットを装備。コンパクトなEシャーシを使った場合、業界標準のラックに最大84ブレードが収納可能となる。内蔵のBMC(Baseboard Management Controller)は、障害予知機能PFA(Predictive Failure Analysis)をサポート。
【参考資料】

標準装備されたLANインターフェースのポート数が6機種中で最も多いのがPRIMERGY BX620 S4。プロセッサーは、X5355, E5310, L5320の3種類をサポート。メモリーは、FB-DIMMを最大32GBまで増設可能。RAID1に対応したディスク・コントローラーを標準搭載し、2.5インチSASドライブを最大2基、293.6GBまで内蔵できる。LANインターフェースは標準で6ポート、オプションのLAN拡張ボートを使用することで8ポートまで拡張可能となる。7UサイズのPRIMERGY BX600 S3シャーシには、最大10ブレードまで収納可能で、2枚のマネージメント・ブレードが標準搭載されている。OSはWindows Server 2003とRed Hat Linux、そしてVMWare Infrastructure 2をサポートしており、更に同社独自の運用管理ソフトウェアSystemwalker Resource Coordinator Virtual Server Editionと組み合わせることで、物理 / 仮想サーバー、SANの混在環境に対する効率的な運用・管理を実現する。
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ソフトウェア・ベンダーとのパートナーシップにより、幅広い管理ソリューションが利用できるのがPowerEdge 1955。プロセッサーはX5300番台、E5300番台、そして低電圧版のL5300番台をサポート。8本のメモリー・ソケットに最大32GBのFB-DIMMを搭載できる。オンボードにRAID0, 1機能付きのSAS/SATA対応SAS 5i/rコントローラーを装備、146GBの2.5インチSASドライブを使用した場合、内臓ストレージ容量は最大292GBとなる。ネットワークはオンボードに搭載された2つのLANインターフェースのほか、オプションとしてブレード専用ドーター・カード・ベイ(1つ)を使って、デュアルポートLANインターフェース、あるいはデュアルポート・ファイバー・チャネル・インターフェースを拡張可能。BMC(Baseboard Management Controller)が標準搭載され、無償提供されるDell OpenManageのほか、Microsoft Operations Manager 2005やAltiris Deployment Solutionといった管理ソリューションが用意されている。
【参考資料】

一つの予備サーバーに複数の業務サーバーを対応させるN+1コールド・スタンバイ機能により、高い可用性を優れた投資効果で実現しているエントリー向けモデルがBladeSymphony BS320である。プロセッサーはE5345とE5310をサポートし、メモリーはPC2-5300 FB-DIMMを最大16GBまで増設可能。2.5インチSASドライブ、あるいはSATAドライブを最大2基搭載できる。ネットワーク・インターフェースは標準で4ポートが装備されるほか、内臓の拡張スロットには、オプションとしてデュアルポート・ファイバー・チャネル拡張カード、あるいはデュアルポートSAS拡張カードが用意されている。I/Oインターフェースや電源の工夫により、省ケーブル化を実現し、更に100V電源環境にも対応。最大10ブレード収納可能な6UサイズのBS320サーバー・シャーシには、最大2つのマネージメント・モジュールが搭載でき、リモートKVM(Keyboard / Video / Mouse)機能をサポート。統合システム運用管理「JP1」をはじめとする日立オープン・ミドルウェアのほか、CitrixやVMware、SAP、Oracle、Kabiraなどのソフトウェア製品と組み合わせた多彩なソリューションが用意されている。
【参考資料】

オンボードに搭載されたBMC(Baseboard Management Controller)チップ「EXPRESSSCOPEエンジン」により、サーバーの監視や、OSや電源の状態に依存しないリモート制御機能を提供しているのがSIGMABLADE Express5800/120Bb-6。プロセッサーは、X5355とE5345をサポート。メモリーは、PC2-5300 FB-DIMMを最大16GBまで増設可能。RAID0, 1機能をサポートしたディスク・コントローラーには、2.5インチSASドライブを最大293GBまで搭載できる。ネットワークは標準装備された2ポートのLANインターフェースのほか、拡張スロットに4ポートLANインターフェースやデュアル・ポート・ファイバー・チャネル・インターフェース、ディスク・アレイ・コントローラーが搭載できる。シャーシは、10UサイズのSIGMABLADE-Hに最大16ブレード、6UサイズのSIGMABLADE-Mに最大8ブレードが収納できる。SIGMABLADE-Hでは、I/O仮想化ブレードとI/O仮想化スイッチの利用も可能となる。
【参考資料】
| メーカー名 | 日本ヒューレット・パッカード株式会社 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 | 富士通株式会社 |
|---|---|---|---|
| 製品名 | ProLiant BL480c | BladeCenter HS21 | PRIMERGY BX620 S4 |
| 価格 | 485,100円~ | 300,000円~ ※税別 | 430,000円~ ※税別 |
| 発表時期 | 2007年1月 | 2007年1月 | 2007年5月 |
| プロセッサー | X5355, E5345, E5320, E5310 | X5355, E5345, E5335, E5310, L5320, L5310 | X5355, E5310, L5320 |
| チップセット | インテル 5000P | インテル 5000P | インテル 5000P |
| メモリー(最大) | PC2-5300 FB-DIMM(48GB) | PC2-5300 FB-DIMM(32GB) | PC2-5300 FB-DIMM(32GB) |
| ストレージベイ(最大) | SAS×4(584GB) | SAS×2(293.6GB) | SAS×2(293.6GB) |
| ネットワーク | 4ポート | 2ポート | 6ポート |
| サポートOS | Windows 2000, Windows Server 2003, Linux | Windows 2000, Windows Server 2003, Linux, VMWare | Windows Server 2003, Linux, VMWare |
| 収納ユニット | BladeSystem c7000 10U / 8ブレード |
BladeCenter E 7U / 14ブレード BladeCenter H 9U / 14ブレード BladeCenter T 8U / 8ブレード |
PRIMERGY BX600 S3 7U / 10ブレード |
| メーカー名 | デル株式会社 | 株式会社 日立製作所 | 日本電気株式会社 |
|---|---|---|---|
| 製品名 | PowerEdge 1955 | BladeSymphony BS320 | SIGMABLADE Express5800/120Bb-6 |
| 価格 | 351,750円~ | 399,000円~ | 548,000円~ |
| 発表時期 | 2006年11月 | 2006年11月 | 2007年2月 |
| プロセッサー | X5355, E5345, E5335, E5320, E5310, L5320, L5310 | E5345, E5310 | X5355, E5345 |
| チップセット | インテル 5000P | インテル 5000P | |
| メモリー(最大) | PC2-5300 FB-DIMM(32GB) | PC2-5300 FB-DIMM(16GB) | PC2-5300 FB-DIMM(16GB) |
| ストレージベイ(最大) | SAS×2(292GB) | SAS×2(146GB) | SAS×2(293GB) |
| ネットワーク | 2ポート | 4ポート | 2ポート |
| サポートOS | Windows Server 2003, Linux | Windows Server 2003, Linux | Windows Server 2003, Linux |
| 収納ユニット | 専用シャーシ 7U / 10ブレード |
BS320サーバー・シャーシ 6U / 10ブレード |
SIGMABLADE-M 6U / 8ブレード SIGMABLADE-H 10U / 16ブレード |
次に、公開されているベンチマーク結果から性能面を見ていく。表2は、代表的な業界標準ベンチマークの一つである“SAP SD(Sales and Distribution) Benchmark”の結果である。ProLiant BL480c、PRIMERGY BX620 S4ともに、2-Tier構成で1,800 SD Users台の性能が出ているが、これと同水準のシステムを探してみると、4ソケット構成のデュアルコア インテルXeonプロセッサー搭載マシンが近い結果となっている。2ソケットのクアッドコア、そして4ソケットのデュアルコア、いずれもコア数は8コアということになるが、これがそのままSD Benchmarkの結果に表れていると言えるだろう。
| HP ProLiant BL480c | X5355 (2.66GHz) 2ウェイ8コア |
32GB | 1,806 SD Users |
| 資料(英語:PDF) | |||
| Fujitsu Siemens PRIMERGY BX620 S4 | X5355 (2.66GHz) 2ウェイ8コア |
32GB | 1,870 SD Users |
| 資料(英語:PDF) | |||
| NEC Express5800/140Re-4(参考値) | 7140M (3.40GH) 4ウェイ8コア |
32GB | 1,800 SD Users |
| 資料(英語:PDF) | |||
続いてTPC-Cベンチマーク(表3)。HP ProLiant BL480cにおけるクアッドコア インテルXeonプロセッサーX5355(2ウェイ8コア)、およびデュアルコア インテルXeonプロセッサー5160(2ウェイ4コア)搭載時の結果を比較した。スループット(TPC-C Throughput)はX5355の222,117 tpmCに対して、5160が147,293 tpmCと前者の方が約+50.8%高い。一方、性能あたりの価格(Price/Performance)で見ると、X5355が2.72 US $で、5160が3.34 US $と約-18.6%安くなっている。総コスト(Total System Cost)で比べるとX5355の603,191 US $に対して5160が491,136 US $と、前者の方が100,000 US $強、約22.8%高くなっているが、費用対性能で考えるとX5355に分があるようである。
| X5355 (2.66GHz) 2ウェイ8コア |
スループット | 価格/性能 | 総コスト | 222,117 tpmC | 2.72 US $ | 603,191 US $ |
| 資料(英語) | |||
| 5610 (3.00GHz) 2ウェイ4コア |
スループット | 価格/性能 | 総コスト | 147,293 tpmC | 3.34 US $ | 491,136 US $ |
| 資料(英語) | |||
| 構成 | OS : Microsoft Windows Server 2003 Enterprise x64 Edition SP1 RDBMS : Microsoft SQL Server 2005 x64 Enterprise Edition SP1 クライアント : インテルXeonプロセッサー5160 (3.00GHz) |
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サーバー・ブレードと言えば、当初は「高密度実装」というのが最大のウリだったが、そうした超小型フォーム・ファクターにも搭載可能なクアッドコア・プロセッサーが登場したこと、そして、周辺技術、特にSAS(Serial Attached SCSI)やSATA(Serial ATA)、PCI Expressのような高速で、省スペース化が容易なシリアルI/O技術の進歩との相乗効果により、ラック・マウント型にも引けを取らない性能を持つようになってきている。また、BMC(Baseboard Management Controller)を介したリモート管理機能や、システムの導入、ソフトウェア配布、トラブル監視など、管理業務のための包括的なツールが用意されている点が心強い。尚、今回取り上げた6機種はいずれも、クアッドコアXeonだけでなく、デュアルコアXeonにも対応している。そうした、プロセッサーの幅広い選択肢も、ユーザーにとっては大きな魅力である。
‘ブレード’という概念を超えた拡張性を備えたもの、多彩な収納シャーシが用意されたもの、豊富なLANインターフェースを搭載したものなど、各社各様の個性派揃いであることが印象的だ。サーバー市場の中で、今最も元気なサーバー・ブレードからは、これからも目がはなせない。
日本アイ・ビー・エム IBM System x3250 2011/11/17 UP
東芝 MAGNIA3615R 2010/11/18 UP
日本アイ・ビー・エム IBM System x3200 2010/11/17 UP
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日本ヒューレット・パッカード HP ProLiant ML110 G6 2010/11/15 UP
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