携帯ビジネスの変化に柔軟に追従できるauの基幹システム「ARIAL」

2006/9/14 - トピックメーカー/上浦倫人

 今回のエントリでは、KDDIの携帯電話ブランド「au」のシステム構築事例記事をご紹介します。ご存じのように、近年のauは「着うたフル」や「パケット定額」といったサービスをいち早く投入し、若年層を中心に急速にシェアを拡大してきました。今年10月からは、今まで使っていた電話番号を乗り換え先の携帯キャリアに持ち込める「番号ポータビリティ」制度が開始され、人気キャリアのauにはさらに多くの新規顧客が流入すると見込まれています。

 しかしこうした急成長の背後では、しばしばIT部門の悲鳴が聞こえるもの。auの「IPプロビジョニング・システム」も、他社に先駆けて3G携帯網の展開に成功した前後から、性能と収容能力の両面でしだいに限界に達しつつありました。同社のIPプロビジョニング・システムは、2000万人あまりの顧客のアカウント情報を集約管理し、新規顧客のアカウント登録、アカウントDBとサービスの紐付けなどを一括処理する、いわば業務の中核を担う基幹インフラ。しかし度重なる改修でサービスを拡充してきた結果、システム構造は肥大化・複雑化し、顧客増とあいまってパフォーマンスの低下、開発コストの高騰、耐障害性の悪化といった問題が表面化してきたのです。

 そのため同社は、インテル Itanium 2 プロセッサーを搭載した日本HPの「HP Integrity Server」とBEA社のミドルウェア・プラットフォーム「WebLogic Server」をプラットフォームとする次世代IPプロビジョニング・システム「ARIAL」の構築に着手し、2004年9月にカットオーバー。その成果は、開発期間30%短縮、案件対応能力150%向上、処理時間の大幅短縮、収容能力限界の完全撤廃という目覚ましいものでしたが、本サイト読者のみなさんには、この結論に到った「過程」のほうが興味深いかもしれません。

 実はKDDIでは、「ARIAL」の開発にあたって「主要ベンダ各社に要望提案書を提示し、各社のソリューション案を評価検討」「ベンダと共同してのPMO(専任プロジェクト管理組織)創設」「基幹システムをwebアプリケーション・ベースで開発」「商用ミドルウェアを軸としたSOA(サービス指向アーキテクチャ)の実践」など、国内企業ではまだ珍しい、先鋭的な取り組みを数多く試みています。これを「選定・構築・運用の全フェイズでオープン指向・標準指向を徹底した」と言い換えることもできるでしょう。陳腐化したシステムを、どのような方法論に基づいて次世代システムへの移行ミッションを進めるべきかというのは、大企業のIT部門に共通する課題。その戦略を考える上で、多くの示唆を与えてくれそうな事例記事でした。

 この事例記事のPDFファイルは、インテルの"Intel built in."サイトからダウンロードいただけます。また、日本HPの導入事例紹介サイトでは、より詳細な構築経緯が紹介されています。ぜひ合わせてお読みください。

 当IAポータルでは今後も興味深い構築事例をピックアップし、解説を交えながらご紹介してゆく予定です。ご期待下さい。

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