デスクトップ向けのXシリーズとEシリーズ、そしてノートブック向けのTシリーズと出揃ったインテル Core 2プロセッサー・ファミリー(Conroe/Merom)。前回のパフォーマンスに続き、今回はConroeの消費電力と発熱に着目する。
| プロセッサー | コア数 | プロセス | PCG*1) | クロック | TDP | ケース温度*2) (TDP時の最大) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| X6800 | 2 | 65 nm | 05B | 2.93 GHz | 75.0 W | 60.4℃ |
| E6700 | 2 | 65 nm | 06 | 2.66 GHz | 65.0 W | 60.1℃ |
| E6600 | 2 | 65 nm | 06 | 2.40 GHz | 65.0 W | 60.1℃ |
| E6400 | 2 | 65 nm | 06 | 2.13 GHz | 65.0 W | 61.4℃ |
| E6300 | 2 | 65 nm | 06 | 1.86 GHz | 65.0 W | 61.4℃ |
| Pentium XE 965 | 2 | 65 nm | 05B | 3.73 GHz | 130.0 W | 68.6℃ |
| Pentium D 960 | 2 | 65 nm | 05A | 3.60 GHz | 95.0 W | 63.4℃ |
| 同上 | 2 | 65 nm | 05B | 3.60 GHz | 130.0 W | 68.6℃ |
| Pentium D 840 | 2 | 90 nm | 05B | 3.20 GHz | 130.0 W | 69.8℃ |
| Pentium 4 670 | 1 | 90 nm | 04B | 3.80 GHz | 115.0 W | 70.8℃ |
| Pentium 4 661 | 1 | 65 nm | 05A | 3.60 GHz | 86.0 W | 69.2℃ |
| Pentium 4 660 | 1 | 90 nm | 04B | 3.60 GHz | 115.0 W | 70.8℃ |
| Celeron D 356 | 1 | 65 nm | N/A | 3.33 GHz | 86.0 W | 69.2℃ |
表1) 主なデスクトップ向けインテルプロセッサーのTDP
デスクトップPC向けインテル Core 2プロセッサー・ファミリーと、前世代の主なインテル プロセッサーのTDP(Thermal Design Power : 熱設計電力)を表1にまとめた。
TDPとは、プロセッサーが安定稼動できるケース温度(Tc)*2)の上限における最大消費電力を示すものである。以前の記事でも紹介したがインテルは、消費電力とケース温度の関係を“Thermal Profile(熱プロファイル)”としてプロセッサーごとに定義し、設計者向けに公開している。例えば、インテルCore 2 DouプロセッサーE6700(2.93GHz / L2キャッシュ4MB)の熱プロファイルは、0W時の最大ケース温度が43.2℃。そこからTDP65W時の最大ケース温度60.1℃まで、消費電力に応じてリニアに変化していく(表2および図1)。プロセッサーのケース温度がこの水準を超えるレベルでプロセッサーが長時間の稼動を続けるとシリコンにダメージを被る可能性が高くなる。逆に、熱プロファイルの水準を超えないように筐体の熱設計(放熱板やファンの配置、空気の対流など)を行っていれば、長時間稼動におけるプロセッサー、そしてシステムの安定性や信頼性を損なう要因のうち、「発熱」に関する部分は(とりあえず)クリアされることになる。
| 消費電力 | 最大ケース温度 |
|---|---|
| 0W | 43.2℃ |
| 2W | 43.7℃ |
| : | : |
| 64W | 59.8℃ |
| 65W | 60.1℃ |
表2および図1) Thermal Profile(熱プロファイル)の例
表1に限定して言えば、ConroeのTDPは前世代のデュアルコア・プロセッサーと比較して最大1/2、同シングルコアと比べても40%以上低くなっていることがわかる。また、TDP時の最大ケース温度を見比べると、Conroeの方が10℃前後低く設定されている。
ここでConroeが持つ特長の一つである「低消費電力」の意味について、改めて考えてみよう。前回の記事でお伝えしたとおりConroeは、前世代を大きく上回る性能向上を果たしている。
Intel NetBurstベースのプロセッサーにとって、パフォーマンス向上の‘拠り所’はクロック周波数だったが、それが同時に消費電力増大の要因となっていることは、もはや誰もが知る事実である。これに対してConroeは、従来プロセッサー以上のパフォーマンスを出しながら、その消費電力・発熱は、表1の通り、従来より格段に抑えられている。
「消費電力・発熱問題」と言うと、大抵の場合データ・センターやサーバー・ルームなど、数多くのサーバーを稼動させる用途に特有な課題だと思われがちだが、実は、たくさんのデスクトップPCが活躍しているオフィスも例外ではない。例えば電気代。企業は何十、何百、何千台ものPCを維持するために毎月電気代を支払っている。これを削減するには、台数を減らす、使用時間を短くするといった方法が考えられるが、現実的ではない。これに対して一つの理想的な解決策となるのが、PCの低消費電力化である。Conroeは、100W以上の電力を消費する従来プロセッサーを凌駕するパフォーマンスを、TDP65W(※E6000シリーズの場合)という電力消費で実現している。実際、先日開催された『インテル vPro テクノロジー・コンファレンス』において、あるPCベンダーの担当者から、vProマシン(つまりConroeマシン)への移行は電気代の節約につながるという声が聞かれたことから、Conroe(マシン)の省電力効果には期待していいと言える。
もうひとつ、消費電力や発熱は、筐体設計や静寂性に深く影響する。一般に、消費電力の大きなプロセッサーを使った場合、筐体内部の風通しをよくしなければならないため、どうしても大柄になることが多い。また、筐体を小さくした場合には、常にファンを高回転で作業させておく必要があるため、静寂性は期待できない(※代表例はラック・マウント型サーバーの騒音)。こうした観点からConroeを見ると、消費電力と発熱が抑えられている分、筐体設計の自由度が高いと言える。つまり、Conroeでインテルが行った「マイクロアーキテクチャーの刷新」は、高性能・低消費電力だけでなく、大小様々なフォームファクターに対応できるという側面を持つ。これは、Conroeのベース(基盤)であり、サーバーからデスクトップ、ノートブック、すべてに最適化できるよう考えられたインテル Core マイクロアーキテクチャーがもたらした副産物と言えるかもしれない。
以上、消費電力と発熱を中心にConroe、および前世代の代表的なプロセッサーを見てきた。マイクロアーキテクチャーが同じ場合、パフォーマンスが高い方が多くの電力を消費し、それに伴い発熱量が多い傾向は確かにあるが、全体的に見ると性能、(コアあたりの)消費電力、発熱の優位性について「シングルコアよりデュアルコア」、「Intel NetBurstよりインテルCore」、「90nmプロセスより65nmプロセス」という図式が成り立っていることがわかった。
インテルはサンフランシスコで先日開催されたIDF Fall 2006において、デスクトップ向けクアッドコア・プロセッサー“Kentsfield”、およびサーバー向け“Clovertown”の投入予定が11月であることを公開したが、これが上記3つの流れを更に推し進めるものになることは間違いない。インテルによると、“Clovertown”のTDPはパフォーマンス向けが120W以下、メインストリーム向けが80Wになるとのこと。おそらくデスクトップ向けプロセッサーKentsfieldのTDPもこの近辺になると考えられるが、前世代のデスクトップ向けプロセッサーが100Wを越えていたことを考えると、低電力・高性能への期待は、否応無く膨らむ。
【参考資料】
日本アイ・ビー・エム IBM System x3250 2011/11/17 UP
東芝 MAGNIA3615R 2010/11/18 UP
日本アイ・ビー・エム IBM System x3200 2010/11/17 UP
日本ストラタステクノロジー ftServer 6310 2010/11/17 UP
日本ヒューレット・パッカード HP ProLiant ML110 G6 2010/11/15 UP
東芝 Satellite B550/B 2011/01/27 UP
東芝 dynabook R730/B 2011/01/27 UP
東芝 Satellite B650/B 2011/01/27 UP
デル Dell Vostro 3400 2010/04/02 UP
デル Dell Vostro 3500 2010/04/02 UP